最終更新:2026年6月
過去十年間、ホテルは独自のモバイルアプリに多額の投資をしてきました。モバイルチェックイン、ルームサービスの注文、スパの予約、周辺ガイドなどです。戦略としては理にかなっています。しかし、数字が示す実情は異なります。ホテルアプリをダウンロードするゲストは五人に一人未満で、ダウンロードした人も、チェックアウト当日に削除することが少なくありません。単独のホテルや小規模なグループでは、最も費用のかかるデジタルの接点が、誰も使わない接点になっていることがよくあります。
ゲストがホテルアプリをダウンロードしない理由
問題はアプリの出来ではなく、アプリという形式そのものです。丁寧に設計した画面を一つ見る前に、ゲストには次の行動を求めることになります。
- 多数のアプリが並ぶストアでアプリを探す。しかも、荷物を持って受付に立っているなど、都合の悪いタイミングになりがちです
- ダウンロードしてインストールする。まだ接続していないホテルのWi-Fiを使う必要がある場合もあります
- アカウントを作成する。メールアドレスを確認し、また新たなパスワードを設定します
- アクセス許可を与える。望んでいない通知も受け入れます
- わずか一泊か二泊かもしれない滞在のために、インストールしたままにする
どの段階でも、利用をやめるゲストが生じます。一つのブランドに年間四十泊する会員なら、こうした手間を受け入れるかもしれません。しかし、施設に三泊する観光客が受け入れることは、ほとんどありません。独立系ホテルや小規模な高級ホテルグループにとっては、今夜客室に泊まっているゲストのうち、アプリが届くのはごく少数ということです。
誰も開かないアプリを維持する費用
アプリは、一度購入すれば済むものではありません。二つのプラットフォームの保守、OS更新への対応、アプリストアのレビュー対応、コンテンツ管理の基盤の更新など、継続的な開発負担を伴います。実際にインストールする少数のゲストのために、これらの費用をすべて負担します。実際の総保有コストをゲストの利用実績で割ると、アプリは、ホテルが費用を払う接点のなかで、最も費用対効果が低いものになりがちです。そうした測り方がされる機会は、あまりないだけです。
ゲストがすでに携帯している接点:カードキー
すべてのゲストが受け取り、一日中持ち歩き、滞在中ずっと手元に置くものがあります。客室の鍵です。RFIDホテルカードキーは、すでにゲストのポケットにあります。そのカードでドアを開けるだけにするか、ゲストとの会話のきっかけもつくるかが、次の問いになります。
この考え方から生まれたのが、PrintPlastのデジタルゲストサービス基盤、TAPです。TAPは、二つのチップを備えたNFCカードキーです。一つのチップは従来どおり既存の電子錠システムで動作し、もう一つのNFCチップはゲストのスマートフォンと通信します。iPhoneやNFC対応のAndroid端末にカードをかざすと、AIコンシェルジュのウェブページがすぐに開きます。アプリもダウンロードも、アカウントもパスワードも不要です。
ホテルアプリとNFCカードキーの比較
| ホテル独自のアプリ | TAP NFCカードキー | |
|---|---|---|
| 利用開始までの手間 | 検索、ダウンロード、インストール、登録 | 客室のカードキーをスマートフォンにかざす |
| 接点を持てるゲストの割合 | ごく少数 — ダウンロードするのは五人に一人未満 | カードキーを持つすべてのゲスト |
| 利用可能な端末 | アプリをインストールしたスマートフォン | iPhoneとNFC対応のAndroid端末 |
| 言語 | アプリの開発時に対応した言語 | 30+の言語を自動判別 |
| 継続的な保守 | 二つのプラットフォーム、ストアのレビュー、OS更新への対応 | ホテルが更新するウェブページ |
| 電子錠システムへの影響 | 別途、モバイルキーの連携導入が必要 | なし — 電子錠の機器変更は不要 |
「ダウンロード不要」が利用を促す理由
かざす操作とダウンロードの違いは、細かな違いではなく、利用の成否を左右します。すでに手にしているものから一秒で開くウェブサービスは、利用開始の障壁を一度に取り除きます。探すものも、インストールするものも、覚えておくものもありません。TAPは30を超える言語を自動判別するため、サンパウロ、ワルシャワ、イスタンブールから来たゲストにも、初めから自分の言語のページが表示されます。こうした体験を提供するホテルアプリは、非常に少ないのが現状です。
ホテルの運用も、同じようにシンプルです。TAPカードは、通常のRFIDカードキーとして、同じ方法で客室用のデータを書き込み、同じフロントで発行します。既存の電子錠システムの変更は不要です。もともと手渡す予定だったカードに、デジタルサービスの機能を重ねます。
ホテルアプリは不要になるのでしょうか
すべてのホテルに当てはまるわけではありません。数百万人のリピーター会員を持つ世界規模の会員制度なら、ネイティブアプリへの投資は合理的です。最も大切な顧客がそれを使うからです。一方、独立系ホテル、リゾート、ブティックホテルグループなど、ゲストが年に一度、あるいは一生に一度だけ訪れる場合もある施設には、ダウンロード不要の接点を通じてアプリ並みのサービスを提供する方が、実際のゲストの行動に合っています。
よくあるご質問
ゲストは何かをインストールする必要がありますか。
ありません。TAPカードをスマートフォンにかざすと、ブラウザーでウェブページが開きます。アプリもアカウントも、いかなる利用登録も不要です。
カードで客室のドアも開けられますか。
はい。TAPは二つのチップを備えたカードです。入退室用チップは、既存の電子錠システムで従来どおり動作し、もう一つのNFCチップがスマートフォンとの通信を担います。フロントでのデータ書き込みの手順も、これまでどおりです。
どのスマートフォンに対応していますか。
TAPは、iPhoneとNFC対応のAndroid端末で利用できます。スマートフォンの種類にかかわらず、すべてのゲストにとって、カードは通常の客室の鍵として機能します。
TAPを開発しているのはどの会社ですか。
TAPは、1989年からホテルのカードキーを製造するPrintPlastが開発しています。カード製造の経験は37年で、世界で250を超える高級ホテルに製品を提供しています。
カードキーに、ドアを開ける以外の役割も持たせたいとお考えですか。アプリ不要のデジタルゲストサービス、TAPをご覧ください。施設での試験導入については、担当チームにご相談ください。